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久保田牧場さんによる益富中学の食育講演


10月16日(火) 豊田市益富中学校で
夢農人のメンバーでもある、久保田牧場、
久保田健一さんが食育講演会を行いました。

2年生を対象に「命をいただく」と題した講演は、
笑いあり、真剣なまなざしで聞き入る場面もあり、
“食べること”を改めて考える1時間でした。

講演の内容を文章でお伝えします。
ぜひ、一度ご覧ください。

「命をいただく」

僕は子どもの頃から酪農をやりたいと思っていました。

中学の時には猿投農林か、安城農林に行きたいと思い、
親に相談したら大反対されて「普通科の高校にいけ」と言われて
豊田北高校に入りましたが、酪農への気持ちは変わらず、
卒業して北海道の酪農学園大学に入りました。

この酪農大学、全国で第3位!
敷地面積がね。
この益富中学校の400倍くらいで、
校内にバス停が3つあり、一度は校内で遭難しそうになったこともあります。
その大学を卒業し、牧場を作りたいといったら、これまた大反対。
でも説得し、今に至ります。

乳牛はいつでもお乳が出るわけではありません。
出産して1年しかお乳は出ません。
ですから、いつも妊娠させて出産させて、
妊娠させて出産させてと、お乳が出るようにしています。


(パンフレットをみせながら)

これはホルスタインのお父さんのリスト。
牛は人口受精の世界です。
(液体窒素の中から牛の精子が入った容器を取り出して見せました。)
優秀な雄しか選ばれません。

(生徒の1人へ)「どうして君はお乳が出ないの?」
(生徒)「男だから」
「正解!」

乳牛のお母さんから生まれた乳牛の女の子は乳牛に。
でも乳牛のお母さんから生まれた男の子は食用になります。
乳牛のお母さんと和牛のお父さんの子は雄も雌も食用になります。
リストに乗っている牛は人間でいうとジャニーズかな。
この中でジャニーズ系の男子は?

(誰も声があがらないので)
ということはみんなお肉(食用)になるね。(会場笑)

今朝は朝4時に起きて、交雑種の女の子を送ってきました。
食用として生まれた牛は2年しか生きられません。
生まれると耳標という番号を耳に付けます。
どこで育って、父は誰か、母は誰か、どこで殺されて肉になったのか、
全国全てこの番号で管理しています。

これ、なんだと思いますか?
(長い金属製のものを見せる)
これは牛の角を焼くものです。
牛は雄も雌も角が生えます。

お互い傷つけあわないように生まれて2ヶ月くらいの時に
角の生えるところをこれで焼くと角は生えてきません。

これ、なんだと思いますか?(大きなペンチ状のものを見せる)

牛の睾丸をつぶすものです。
牛は生まれて1年くらいで人間でいうと中学生くらいになります。
生殖活動ができるようになると、このペンチで睾丸をつぶすのです。


はい、ここまで聞いて、酪農ってグロイな、
残酷だな、と思った人。(ほぼ全員手が上がる)

なぜ、こんなことをするのか。
僕が好きでやっているわけではない。

なぜ、耳に穴を開けて番号を付けるのか、
耳標で日本の牛の安全が管理されています。

角を焼くのか。睾丸をつぶすのもそう。
ガチガチに筋の入ったお肉が食べたいですか?
ピンク色のお肉と真っ黒なお肉、どっちを選びますか?


我々がやっていることはきわめて残酷だと思います。
でも、それは消費者のニーズにあわせて
やっていかないといけないから、やっているのです。

でも、僕はだれよりも牛を愛しています。
酪農という仕事に誇りをもっています。
365日休みなしです。朝早く起きて掃除をし、えさをやり、
搾乳し、子牛にミルクを飲ませて、お昼ごろには畑仕事をして、
夕方また4時から牛の世話です。

尊い仕事だと思っています。
産まれて育てて、死ぬところまで面倒見られる仕事って他にないと思います。

今朝出荷した1頭は産まれて2年2ヶ月育ててきました。
20年この仕事をしています。
出荷するトラックに乗せて、喜んだ牛を1頭も見たことがありません。

足をこう、つっぱるんです。
その牛の尻尾を反対に折り曲げると、
痛くて進むので尻尾を折り曲げて無理やりトラックに乗せます。

今日はトラックに乗せようとしたら、
ロープを切って牛舎へ逃げたので、
最終的にはトラックの運転手と僕と、
研修に来ている大学生とでクレーンで引っ張って乗せました。

牛って、トラックに乗せた瞬間、
必ずなくんです。「モォー」って。
いつもどんな言葉を発しているのかなと考えます。


今から死にゆく牛を見たことがある人。(手は上がらない)
今から死にゆく牛の映像を見せたいと思います。

(昨年NHKで放送された番組 SKEのメンバー3人が
久保田牧場さんで3日間の体験をした2日目の朝
出荷があったときの映像が流れました。
番組の中では、まさにトラックに乗った後、
牛が「モォー」と一声ないていました。
久保田さんはSKEのメンバーに
「思いをこめて生産したものを「おいしい」って言って
食べてくれることが一番嬉しい」と語っていました)

朝、5時半くらいにトラックに積んだので、
まさにこの時間に殺されているか、
殺されるのを待っています。

牛を殺す人が残酷なのか、
いらないと言って残す人が残酷なのか、考えてみてください。


牧場へは年間7校くらいから中学生が職場体験に来ます。
みんな3日間さんざん牛の世話をして、最終日に牛丼を食べます。

以前職場体験に来た女の子は牛丼の丼を持って
「久保田さん重いです。」って言いました。

大盛りだったわけでも、つゆだくだったわけでもありません。
牧場での体験が彼女に命を重さを伝えられたんだと思います。

11月には○○くんも
(久保田さんのところで職場体験をする
益富中学の男子生徒もこの講演を聞いていました)

さんざん朝から牛の世話をして最後に牛丼を食べることになります。
その時の、感想をみんなに語ってください。

SEKの子達があの番組の後も、時々牧場へ来てくれます。
握手会の時に、あの番組を見た人が
「いただきますの大切さを知った」
「もう、絶対食べ物を残さないから」
と言ってくれるのが嬉しいと言っていました。

ぜひ、もう一度食べることに、
食べるものについて考えてください。

家に帰って家族の人とも一緒に考えてみて欲しいと思います。


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